19 3月上旬(10~13日頃)
マシュの受験が終わった。
マシュは合格した。京都大学の『生命理工学部』、明海は、同志社大学の医学部。
マシュは合格発表を見ながら、真っ先に明海のもとへ連絡をした。電話口から明美の祝福の声が聞こえた。その様子を見ながら、杏子の羽は一段と黒く透明に、透けていった。
ハルは、杏子が『彼ら』と同じ隣の次元に近々いってしまうのではないかと、強く懸念した。
しかし、自分にどうすることも出来ないということがわかっていた。もう、ハルは下界の人間とは同じ次元の存在ではない。
愁が見えた。 賃貸の契約センターからちょうど出てきたところだった。
ちょうど地面に立っていたハルと目線があったような気がしたが、気のせいだろうとハルは思った。
大分俺は弱ってる、とハルは思った。